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歯並びやかみ合わせが悪い状態を「不正咬合」といいます。
不正咬合は見た目が気になるだけでなく、歯みがきがしにくいことから口腔内のトラブルを引き起こしたり、免疫力が低下して病気になりやすくなるなどの問題を引き起こすことがあります。多少のかみ合わせのずれであればあまり気にすることはありませんが、年齢とともにずれがひどくなったり、慢性的な肩こりや頭痛を引き起こす場合もあるので、気になるときは早めにかかりつけ医に相談しましょう。
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歯並びが悪くなる原因には、遺伝的なものと生活習慣によるものがあります。
遺伝的な原因としては歯の大きさや本数、あごの大きさ、歯の生える時期などがあり、歯とあごの大きさのバランスや、上下のあごの位置の悪さなどが歯並びやかみ合わせに影響を与えます。生活習慣によるものでは、指しゃぶりやほおづえ、口呼吸、舌で歯を押すくせなどの他に、やわらかいものばかり食べるようになった現代人の食生活の変化によってあごが発達しなくなり、歯がきれいに並ぶスペースがなくなってしまっているということも考えられています。
歯並びやかみ合わせが良くないと、自分に自信が持てなかったり、かみ合わせの状態によっては体にさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。
※顎関節に負担がかかって顎関節症になりやすい
※咀嚼機能が十分でないため、内臓に負担がかかる
※唾液の分泌量の減少、磨きにくい箇所が多いなどの理由から、口臭の発生や歯周疾患にかかりやすい
※ほおの内側や舌をかみやすく、口内炎ができやすい
※あごから首、肩にかけての筋肉が過緊張状態になり、血行障害が起きて肩こりや首の痛みを引き起こす■叢生(そうせい)
歯が大きすぎたりあごが小さすぎたり、あるいはその両方が原因で歯が並びきらず重なり合ってでこぼこに生えている状態。八重歯(やえば)も叢生のひとつ。
「乱杭歯(らんぐいば)」とも呼ばれる。■上顎前突(じょうがくぜんとつ)
「出っ歯」ともいわれる、上あごや上の歯が下の歯より前に突き出ている状態。
遺伝による先天的な骨格であることや、指しゃぶりの習慣や口呼吸などが原因。■空隙(くうげき)
歯と歯の間にすき間がある状態。「すきっ歯」ともいう。
舌で前歯を押すくせが原因となっていることもある。*乳歯列期には空隙は正常。このすき間があることで、乳歯より大きな永久歯が生えてきたときにきれいに並ぶことができる。
■開咬(かいこう)
上の前歯と下の前歯がかみ合わず、すき間が開いている状態。
骨格の遺伝、指しゃぶりや舌をかむくせなどが原因。
前歯で食べ物をかみ切りにくい、口を閉じにくいなどの問題がある。■過蓋咬合(かがいこうごう)
かみ合わせが深く、上の前歯が下の前歯を覆い隠している状態。
口の周りの筋肉の緊張などが原因。歯に過剰な力がかかることから、歯の寿命を縮めたり顎関節症になりやすいなどの問題がある。■反対咬合(はんたいこうごう)
「受け口」とも呼ばれるかみ合わせで、下の歯が上の歯より前に出ている状態。
下あごが大きすぎたり、上あごが小さすぎることなどが原因。発音がしづらく、言葉が不明瞭になりがちなどの問題がある。
顎関節症を引き起こすことも。矯正治療は美しい歯並びを手に入れることができるのはもちろん、正しいかみ合わせにすることで歯や体への負担を減らすことができます。
また、歯みがきがしやすくなるため、むし歯や歯周病に対するリスクが減少し、歯の寿命を延ばすことができます。治療は専用の装置をつけて、ゆっくりと時間をかけて歯やあごを動かしていくので、ある程度の時間の余裕と最後まできちんと通える忍耐力が必要になりますが、それさえクリアできれば、基本的にはいくつになっても治療を受けることが可能です。
以前は、矯正治療は子どもが受けるものというイメージがありましたが、最近では見えにくい矯正器具や歯の裏側からおこなう矯正治療、またマウスピースで矯正する治療法もあり、大人でも矯正治療を受ける人が増えてきています。