-
2024パリ五輪の熱戦の興奮が冷めやらぬ中、パラリンピックも8月28日から開幕します!
大会期間中、テレビ画面の向こう側ではさまざまな競技の選手たちが、素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。視聴しながら応援する私たちも、思わず歯を食いしばったり肩を力ませたりしたシーンが何度もあったのではないでしょうか!?パラリンピック選手たちの激闘にも、熱い声援を送りましょう!!
誰もが瞬発的に力を発揮するとき、ぎゅっと噛みしめていることがあると思います。
これは『遠隔筋促通(ある部位の筋肉の強い収縮が、離れた部位の筋肉の興奮性を増加させる)』という筋肉の効果を利用した反応で、歯を食いしばって咬筋(こうきん)を収縮させると、足や手首の筋肉が興奮し、より大きな筋力を発揮することができるため、私たちはそれを無意識に行っているのです。
「噛む」ことは脳の前頭前野を刺激し脳を活性化させます。脳が活性化すると集中力や判断力が高まります。
他にもリラックス効果やストレスを軽減させる効果があることもわかっています。スポーツ選手がよくプレー中にガムを噛んでいるのを目にすることがあります。
噛むことで脳のさまざまな機能を活性化させパフォーマンスを向上させる効果や、唾液の分泌を促して緊張による唾液の減少を抑えてくれる効果も期待できます。
上下の奥歯の面をしっかり噛みしめることで首の筋肉に力が入り首が固定されます。
射撃やアーチェリーなどの競技では、集中力や判断力に加え、首が固定され姿勢が安定することで視線も定まるため、パフォーマンスが向上すると考えられています。
そのためには正しい噛み合わせもとても重要になってきます。ハンマー投げややり投げなど瞬発力を必要とするパワー系の競技では、投てきの瞬間に大きな声を出したり、逆に息を止めたりすることでパワーを発揮している選手がいます。
大声をあげる『シャウト効果』には「もうこれ以上は無理だ…」という心理的な限界を、声をあげることによってリミッターをはずし生理的な限界へと高めているのだそうです。
いわゆる「火事場の馬鹿力」が覚醒されるのですね。メジャーリーグでも、ドジャースの大谷翔平選手がホームランを量産し大活躍しています。
日本でもニュースなどで大谷選手のホームランシーンをたびたび目にすることがありますが、唇の内側をぱんぱんに膨らませてフルスイングする姿が印象的です。
彼もこのようにしてパワーを生み出しているのですね。他にも舌を出したりしてプレーする選手もいます。
噛みしめない状態は力みが抜けて、素早くしなやかな動きが可能になるので、パフォーマンスによって使い分けているのかもしれません。「スポーツ歯科」って聞いたことありますか?
口腔領域を専門として、スポーツ活動におけるケガの予防と治療、選手のパフォーマンス向上の指導やサポートを行う分野ですが、一般の人にはあまり耳慣れていないかもしれません。また、競技スポーツのアスリートだけでなく、スポーツ愛好家や学校体育を受ける児童生徒も対象に、スポーツと噛み合わせの重要性を広く知ってもらうための啓発活動も行っています。
これから生涯スポーツを楽しみたいと思っている人も、成長期の学童スポーツや部活動に打ち込む学生の皆さんも、栄養バランスのとれた食事を、よく噛んで食べ、そして毎日のお口のケアを忘れずに、ケガに気をつけてスポーツを楽しんでください。
お口の健康を保つためにも、かかりつけの歯医者さんで定期健診を受けることをおすすめします。
参考サイト:「噛むこと研究室」「公益社団法人 日本学校歯科医会」他