新型コロナウイルス「BA.5」の感染急拡大もピークを迎えている現在、回復後もコロナ後遺症としてさまざまな症状に苦しんでいる人が多くいます。
その後遺症のひとつとして「味覚障害」が挙げられています。今回のお口のテーマでは、そんな『味覚』についてのトラブルやその予防についてご紹介します。
私たちは食べ物を口にしたとき、舌や喉の奥に広がっている「味蕾(みらい)」と呼ばれる花の蕾のような形の微小器官が、食べ物の成分(甘みは糖質、うま味はアミノ酸など)と反応して味を感じとっています。
そして味覚の情報と他の感覚器の情報が脳に総合的に伝わり、料理を「おいしい」「まずい」と判断しています。味覚には甘味、旨味、塩味、酸味、苦味の5種類があり、「甘味」にはエネルギー源としての『糖』の存在、「旨味」には筋肉や血液をつくるのに不可欠な『タンパク質』の存在、「塩味」には体液バランスを保つために必要な『ミネラル』の存在、「酸味」には食物の腐敗や果実が未熟であることのシグナル、「苦味」には毒物の危険を知らせる警告、と重要な役割を担っています。
味覚障害とは、ストレスや薬の副作用、亜鉛不足などにより味蕾の働きが鈍くなったり、減少することで、食べ物の味がわからない、おいしくない、何を食べてもまずいなどの症状がでる病気です。
「味がしないために、砂やロウを噛んでいるみたいで飲 み込むことができない」など、食欲不振に陥ってしまう ことも。食事がとれず低栄養状態を招いてしまうと、持病を悪化させてしまったり、体調不良を引き起こす恐れもあります。現在多くの人が悩まされているコロナ後遺症としての味覚障害については、味覚の組織そのものの働きが阻害されているのではなく、嗅覚障害にともなう『風味障害』によるものだといわれています。
(COVID-19有識者会議:https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/7240 より)亜鉛の摂取
牡蠣や魚卵、卵黄、牛肉、小魚、ナッツ類など、亜鉛をたくさん含む食品を摂取しましょう。そしてよく味わって食べる、少し薄味にする、さまざまな味のものを食べる習慣をつけましょう。
ビタミンCを含む食品(柑橘類や緑黄色野菜)を一緒に摂ることで吸収率も高まります。 また、激辛は味蕾に大きなダメージを与えてしまうので避けましょう。味覚障害が一年以上経過した後では、治療も長引いて治りにくくなってしまうので、早めに歯科口腔外科および耳鼻咽喉科を受診しましょう。
薬剤の中止
薬剤による味覚障害の場合は、原因となった薬の使用を中止することで症状が改善しますが、医師から薬を処方されている場合は、勝手に投薬を止めるのは危険です。
現在発症している病気が原因で味覚障害が起こっている場合もありますので、必ず医師に相談しましょう。薬の中止が不可能な場合は、薬の種類を変えてもらうか、亜鉛剤の投与を行います。
ストレス、悩みの解消
心因性の場合は心療内科に相談しましょう。
また、日頃からストレスをためないように、趣味の時間を持ったり、デスクワークでも少し立って身体を動かすなど気分転換をしましょう。時間がない方は、寝る前に好きな音楽を聞いたり、日常生活のちょっとした合間にストレスを解消する方法を取り入れましょう。